オペレーター向けFAQで「探しやすさ」「見やすさ」を追求し、顧客対応のスピードと質を向上。生産性を上げることで顧客からの評価向上を目指す社内ナレッジ活用。

アスクル株式会社
アスクル株式会社
カスタマーサービス本部 LOHACOエンゲージメント:大内氏
プラン:オペレーター向けFAQ
BtoB通販「ASKUL(アスクル)」や個人向け通販「LOHACO(ロハコ)」などを運営するアスクル株式会社。LOHACOお客様サービスデスクのオペレーター向けFAQツールとして長らくアルファスコープを使用してきた中で、昨年、改めてツールの活用強化に向けた取り組みを開始した。LOHACOお客様サービスデスクの担当としてアルファスコープの運用を担う大内氏に、活用を強化するに至った経緯、取り組みの内容などをうかがった。

アルファスコープを使うオペレーターの声からツールのブラッシュアップに着手。
より使いやすいFAQツールに整え、顧客対応のスピードと質を向上させる。
− 改めてアルファスコープの活用を強化されたきっかけを教えてください。
大内氏:弊社はアルファスコープを社内コミュニケーター(問い合わせに応対するオペレーター)向けに展開・活用しており、これまで同ツールを利用してきた中で実際にコミュニケーターが利便性をどう感じているのかアンケートでのヒアリングを重ねてきました。
しかし、結果をもとに組織として改善に繋げる動きまで手が回っておらず、課題に感じていました。
そのような中、2022年の夏に社内の体制が変わったタイミングで、もっと課題感を掘り下げて改善ポイントを細かく追求し、きちんとアルファスコープを活用していこうという流れになったことが活用強化の背景にあります。

− アルファスコープでしたコミュニケーターのナレッジ整備を強化したのは、どのような目的からですか?
大内氏:最大の目的は、コミュニケーターにとって問い合わせ対応に対するユーザビリティが向上することでした。
使いやすくなることで得られるメリットの1つ目は、顧客対応にかかる時間の短縮です。
2つ目にコミュニケーターの知識量や経験の違いによる「対応の差」を解消すること。
経験豊富なコミュニケーターは余裕を持って素早く対応できる一方で、経験が浅いコミュニケーターはどうしてもお客様からの問い合わせに対する回答にスムーズに辿り着けないことが多く、その点も長らく課題だと認識していました。
アルファスコープを整備し、利便性が上がることで、コミュニケーターはスピード感のある対応ができるようになり、それが顧客からの評価向上につながっていく。そんなゴールを見据えて本格的に整備に着手しました。

これまでのコンテンツを精査していく中で、情報の「探しやすさ」と「見やすさ」をとことん追求した。
− 現在のコンテンツ数など運用状況を簡単に教えてください。
大内氏:現時点でコミュニケーターが顧客対応で利用するコンテンツとして、約1,000件を公開しています。
内訳としては、サービスやシーンごとにカテゴリ分けしているFAQコンテンツが約430件に、突発的な問題に対する対応をまとめたカテゴリが約500件。他にも、拠点ごとの運用面におけるナレッジをまとめたカテゴリ等もあります。
利用の実態でいうと、時期によって変動はありますが、参照数(PV)は平均で月に約15,000件。
利用者数は管理者を除いて40名ほどです。

− アルファスコープ活用のために、どのような部分を整備されたのでしょうか?
大内氏:まず着手したのが、コンテンツの棚卸しです。
アップデート前は「探しづらい」「見づらい」という意見も多かったので、まずは現状把握のために、古い情報に関してはアップデートすべく現在どうなっているのか?という点を確認し、精査しながらアップデートしていきました。
その際、コミュニケーターが情報にスムーズに辿り着くための工夫として、一つのキーワード(例えば「納品書」「領収書」など)に関してその大本となる情報やまとめ資料のリンクを貼り、記事の中からワンクリックで遷移できる形にしました。
− 「探しやすさ」向上のために工夫された取り組みがあれば教えてください。
大内氏:以前は記事の中に必要な情報を全て入れて完結させようとしていたため、スクロールが長くなり、結果「探しづらい」という意見が上がっていました。
この課題の解決のために、まとめコンテンツを作成しています。
例えば「領収書」に関して複数のFAQが用意されているので、単純に「領収書」で検索してもいくつもヒットしてしまい、ぱっと探しにくい状態でした。
しかし、これを1つのFAQにまとめようとするとたくさんの文章の中でどこの部分に回答に必要な情報があるのか、かえってわかりにくくなってしまいます。
そこで、まとめコンテンツを用意して一覧で確認できるようにしました。

新たな試みとして始めたこのまとめコンテンツについて、コミュニケーターが実際に使ってみてどう感じたかアンケートで聞いたところ、8割が「使いやすい」と評価しました。
手応えを感じているので、情報が散らばっていて検索しづらい他の項目に関しても、同様に作成していきたいと考えています。
− 「見やすさ」向上のために工夫された取り組みがあれば教えてください。
見やすさや使い勝手を向上させるために、太字にしたり、黒以外の赤や青などの色を用いたりなどでメリハリをつけたりと工夫しています。
情報量が多いので、表形式や画像を挿入することで、パッと見た時の視認性の高さを大切にしています。
アルファスコープにはエディターがあるので、HTMLなどの知識がなくてもクリック操作で簡単にデザインが変更できるので助かっています。
− 改善点について、コミュニケーターに対しアンケートを実施しているとのことですが、具体的にどのように意見を収集されているのですか?
主に2種類のアンケートで収集しています。
1つ目は、半年に一度のペースで実施しているアルファスコープの活用実態を知るためのアンケートです。
- 操作性の面での「使いやすさ」
- 知りたい情報にたどり着きやすいかという「検索性」
- 掲載されているコンテンツの「種類」
- 文量・色使い・改行などを含む、コンテンツの「見やすさ」
といった指標でそれぞれ評価を聞き、拠点ごとに集計しています。

評価アンケート
この評価アンケートで施策の振り返りや改善点を点検しながら進めています。
直近半年間ではすべての拠点で点数が上がり、成果を感じ始めています。アルファスコープの整備に着手し、徹底的なコンテンツの棚卸し、新たな取り組みを実施してきたことが影響しているのでは?と期待しています。
2つ目は、アルファスコープ上で用意しているアンケートのフリーコメント欄での意見収集です。
こちらには、コンテンツに対して「もっとこうしたほうが見やすい」「この場合はこうしてほしい」「このワードでヒットしなかった」など、コミュニケーターが日々アルファスコープを使う中での気づきが集まります。
これは日々内容を精査し、情報の追加・修正に活用しています。
ナレッジの追加には至らないような声に対してもフィードバックするようにしており、「声を上げることで改善に繋がるのだ」とコミュニケーターのモチベーションに繋がるようにしています。

日々のフリーコメントに対するFB
データが一元管理されているアルファスコープは新人育成においても肝。従業員の学び直しにも役立っている。
− FAQの再構築が落ち着いた現在はどのようなペースでメンテナンスされていますか?
大内氏:新規ナレッジは月に約10~15件のペースで追加しています。
突発的に必要となって作成されるコンテンツを含むと全部で月30~40件ほどでしょうか。
キャンペーンなどの情報をはじめ、運用の変更点、FAQでは解決できずにエスカレーションされた件などもナレッジの追加対象になります。
私たち従業員が必要事項をキャッチアップ+周知をサービスデスク向けにすることでコンテンツの管理作業を委託している外部のナレッジチームに指示して反映してもらう流れです。

また、メンテナンスの一環として、外部ナレッジチームと毎月報告会を実施し、記事の参照数などの確認も行っています。
その中で「しかるべき期間で、見られるべき記事が見られているのか」また「どの拠点の誰が見ているor見ていない」などを把握し、見られていないところに対してはフォローしていくことも大切です。
アルファスコープの利用に際してコミュニケーターが抱えている課題を拾い上げ、上手に活用している人の例なども紹介しながら活用を促しています。
この一環で、「アルファスコープの使い方まとめ」などもアルファスコープ上に作成・掲載し、いかに使いこなしてもらうか?を追求しているところです。
− その他、アルファスコープを活用しているシーンがあれば教えてください。
大内氏:必要なナレッジが一元化されているアルファスコープは、新人育成においても肝となっています。
また、新人だけでなく、従業員が知識を網羅できていないと感じた時、立ち戻って学ぶための資料としても有用です。
社内ナレッジ(応対品質に関するノウハウなど)としてのコンテンツも備えているので、顧客対応時だけではなく、コミュニケーターが空き時間に勉強するための育成ツールとしても重宝しています。
使いやすくなったアルファスコープが確実に生産性を上げている。
さらなる活用のためのサポートやコンテンツの深掘りも進めていきたい。
− アルファスコープの活用強化によって、どのような成果、手応えを感じていますか?
大内氏:検索時間が短縮され、生産性は確実に上がっていると感じています。
以下が当社での定量的な成果です。
- ACW(後処理時間):14秒短縮
- MPH(1時間当たりのメール対応件数):約20%対応件数増加
実際に前出のアンケート指標の「使いやすさ」の点数も上がっています。具体的には、6.4ptから7.1ptへ改善されています。
アンケート開始当初は5.0ptでしたので、そこから見ても、コミュニケーターの中でアルファスコープを活用できる人が増えてきているという感覚があります。

− 今後、アルファスコープを活用してどのような展開をしていきたいですか?
大内氏:トークスクリプトの作成に取り組みたいと考えています。
イメージとしては、顧客対応の中でクリックしながら動線を辿っていく方法で設置できたらと考えているので、実現に向けてPACさんにも相談しながら進めていこうと思います。また、コミュニケーターそれぞれの状況(出勤数、使用頻度の違い)を加味しながら、それぞれに合ったアルファスコープ活用ができるようなサポートも必要だと考えています。
見られていないコンテンツなどもあるので、そのあたりの検証にも今後取り組んでいきたいです。